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AI時代のデータプラットフォーム戦略 DatabricksとSnowflakeのデータベース買収競争

 データクラウドの分野で激しく競争してきたDatabricksとSnowflakeの戦いが新たな局面を迎えている。両社は最近、それぞれ数億ドル規模の買収を行った。買収先はいずれもデータベースのPostgreSQLを中核技術とする企業だ。その狙いは、AIエージェントを支える新しいデータベースの構築だ。

AIエージェントでPostgreSQLに脚光

 5月14日、DatabricksがPostgreSQLスタートアップのNeonを約10億ドルで買収すると発表した。その3週後の6月2日、今度はSnowflakeが、やはりPostgreSQL企業のCrunchy Dataを約2億5000万ドルで買収すると発表した。

 NeonはサーバーレスのPostgreSQLを提供する「データベース・アズ・ア・サービス」(DBaaS)企業だ。創業は2021年で、SnowflakeとDatabricksの各投資部門であるSnowflake Ventures、Databricks Venturesがそろって出資している。Crunchy Dataは創業こそ2012年と古いが、同じくPostgreSQLのDBaaSを提供している。

 背景にあるのは、AIエージェントのトレンドだ。Neonによると、同社のプラットフォーム上でプロビジョニングされるデータベースの80%以上がAIエージェントによって自動的に作成されており、人間の手によるものではないという。

 Snowflakeも「運用環境アプリケーション向けの完全なPostgreSQL互換性を持ち、エンタープライズ級で安全なPostgreSQLソリューションの需要が高まっている」としている。同社はCrunchy Dataの技術をベースに「Snowflake Postgres」として、PostgreSQL互換のAI対応データベースを提供するとしている。

 なお、CNBCによると、Snowflakeも昨年、投資部門を通じて関係のあったNeonの買収を検討したが、断念したという。